「TIME'S」 KYOTO GRAPHIE

「TIME'S」 KYOTO GRAPHIE

執筆者:市原元気(M1)

Takeshi Asano-KYOTOGRAPHIE 2024

「境界」
1.認識作用の対象。境。
2.業(ごう)・因の結果としての境遇。

境界空間とはなにか。境界は人それぞれ認識が異なるものである。「ここは境界だ」と捉える人もいれば「ここは境界では無い」と捉える人もいる。例えばキッチンとダイニングの境界はどこか、それは人によって定義が異なるだろう。境界はないと答える人もいるかもしれない。

我々はどうやって境界を定義づけていくことが出来るのか、そのために概念だけでなく実態的な境界も同時に捉えていく事が必要だと考えている。

私の認識で内外の境界とは、「内」と「外」を分けているものではなく、気温や湿度、といった肌に触れる情報の境界である。知覚できる実体の境界を建築によってつくる事で、境界空間の認識をより共通のものに近づける事が出来るのではないだろうか。大学院では、その様な環境の側面も踏まえた境界の在り方を探ってゆきたい。

最近感じた具体的な例として、「KYOTO GRAPHIE Jaisingh Nageswaran」TIME'Sでの展示を挙げる。風を取り込み水の音を聞きながら連続される展示空間のなか、唯一異質さを感じた部屋があった。その部屋に入る瞬間から扉がないにも関わらず環境音が遮断され、妙な湿度を持つ空間のように感じられた。死をも想起させる重い展示内容に対する準備を、その空間の境界が示している様にも感じ、内容も含め鮮明に意識に残っている。

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