足裏の境界
足裏の境界
執筆者:飯 田 雅(M1)
空間はつくる要素はさまざまです。
場所の広さや天井の高さ、柱の形状、壁の位置、用いる素材、仕上げ、など。
私たち人間はそれらの情報を五感によって集積し、空間を知覚しています。
今回は、五感のなかでも触覚の観点から、地に足をつけてはじめて見つかった、足裏の境界についてお話ししたいと思います。
先日、たまたま裸足で公園を歩く機会がありました。
そのとき歩いた舗装面はタイル、道路、砂の三種類。単純に境界を考えれば、舗装が切り替わる2つの境界がそこには存在します。
しかし、裸足になって歩いてみるとどうでしょうか。
砂と道路はとにかく痛くて歩いているのもやっとだけれど、タイルの上は安全地帯。
痛い場所と平気な場所、触覚によって判断した境界は一つでした。
人間は五感によってあらゆる情報を入力しています。
そのうちわけは、一般的には視覚情報がおおよそ8割を占めるといわれています。
今回の体験を通して、境界空間においても、視覚情報に隠れて気づけていない
触覚によってはじめて知覚できる境界がたくさんあるのではないかと思いました。
同じ素材でも異なる質感によって切り替わる境界。
違う素材でも同様の質感によって連続する境界。
靴一足、靴下一足。
とても身近で些細なちがいだけれども
それだけで境界空間のあり方は大きく変わります。
裸足になってみたり、目を閉じてみたり、、、
これからもあらゆる空間に対し、身体と五感の使い方を変えてみながら
新しい建築空間に出会えて行けたらいいなと思います。