動く境界

動く境界

執筆者:石川博那(M2)

境界は自分にとって強すぎる存在であると感じていた。

境界を引くことに、少し抵抗があった。

だから、スロープで各階を繋いだり、屋根を開閉することができたりするような、境界を曖昧にするグラデーションで可変的な柔らかさを建築に持たせて設計することが多かったように思う。
境界が可変なものであれば、そこに生まれる境界空間も一意に定まらず、フレキシブルな空間となる。

これはm1前期のスタジオ課題での設計の一部である。

ここでは、むしろグラデーションな計画にすることが決定することから避けてしまっていると気付き、動きのなかで角度を固定する位置を決定すること、人の動きと建築の動きを同時に設計すること、を考えることで、動きの機能的な側面と便利さとは逆の煩わしさを存在させ、その些細な建築と人との間の所作の中に面白さがうまれることを期待した。

境界空間の動きを人が操作できる、操作せざるを得ない状況をつくることが、自分事として空間を捉えるきっかけになると考えた。

このような、境界を柔らかくすることで、発見を誘発させ、人が建築に近づく境界空間について考えていきたい。

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