福武トレス
2024年度 第6回
2023. 9. 18
今年度の外ゼミ最終回は、外ゼミとしては初めて、京都を飛び出し岡山の福武トレスで行いました。
1985年、福武商店(現ベネッセコーポレーション)の創業者、福武哲彦氏が岡山市半田山の中腹に完成させた福武書店迎賓館・庭園。
2023年に新エリアを加えて拡張され、Fサロン、Fギャラリー、Fスタジオの3つのエリアで構成された「時の庭」として復元されたのが福武トレスです。
自然風庭園の系譜を確立したと言われる小形研三の手掛けた雑木の庭園が特徴で、半田山の借景とともそれぞれに個性をもつ建物をしなやかに繋いでいます。
Fサロンの改修、Fギャラリーの設計を武井先生が手掛けています。
今回は、Fギャラリーをお借りしゼミを行いました。
前5回はランドスケープを建築周囲の公共空間で享受ていましたが、Fギャラリーではランドスケープを建築内部の公共空間から享受するゼミとなりました。
自然風庭園に囲まれたFギャラリーの中で、有意義な議論を交わすことができました。
武井先生コメント
私たちは、今年、外ゼミを通して、京都で誰もが自由に訪れることのできる場所を探してきました。
現地に到着すると、資料を囲んで話すことができるように、その場所の微細な地面の変化を読み取り、日差しが強ければ木陰を探し、また座りたければ、座れそうな段差を探して、資料を広げようとすれば持ち運びできるテーブルを作り、そうやって「ゼミ」という集いの場を設えていました。
まさに、これこそが公共の原点なのだと思います。この延長上に建築はあるべきではないでしょうか。
外ゼミの最終回は京都を飛び出し、私の設計した『福武トレス』で行いました。場所もさることながら、室内なので「外」ではない点において、「外ゼミ」の場所の条件から外れていたかもしれませんが、意識の中では「外」にいるように感じます。この感覚は図面や写真では伝わりきれません。建築にしかできない、人間の感覚を揺さぶる「外」的な体験がこれから大切になると思っています。
お昼からは、カモ井加工紙のファクトリー、児島虎次郎邸を見学させていただき、岡山の建築を堪能する旅となりました。